山本 美芽先生によるインタビュー
保科さんとは2005年からセッションを始めていますから、 |
以前の保科さんが見ている世界は、20メートルから30メートルぐらい。
普通の人だったら、そんなものでしょう。
今は、200キロぐらい先を見ている。
日本全国が身近に感じているでしょう。
それは物理的に、仕事であちこち訪れるようになったというだけでなく、
心で見る、想像する範囲が変わったのだと思います。
話す話題も、「生徒さんが」「家族が」という身の回りのことから、
「音楽界が」といった、スケールの大きなことになってきていますね。
今の保科さんなら、何かに取り組むとき「無理かもしれないけれど、とりあえず、やってみます」
と考えるでしょう。
でも、セッションを始めたころの保科さんは、「たぶん無理だと思う」という言葉がよく出ていて、
今とまったく逆でした。
どうせできない、無理だと思う、という否定的な考えが、ものすごく強かったんです。
誰でも「やってみたい」「無理」という気持ちのあいだで、もシーソーのように揺れ動いています。
保科さんは、はじめ「無理」のほうに傾いていたのが、
セッションを受けることで、「やってみる」に今は大きく傾く状態に変わりましたね。
よく覚えているのは、保科さんが自宅近くで、お友達のお母さんを対象に、
初めてランチセミナーを開くときに、「どうしよう、どうしよう」と、ものすごく不安がっていたこと。
一生懸命開催したけれど、ぜんぜん人が来なくてがっかりしたこともあった。
いまの保科さんは、地方に呼ばれてセミナー講師をつとめるまでになりましたが、
最初はそんなふうな場所からスタートしたんです。
成果をあげるまでには、たくさんのチャレンジがありました。
失敗しては、本当によく、泣いていましたね。
でも、セミナーを開いて人が集まらなかったときに、その経験が無駄だったのかというと、
そんなことはない。
プログラムを作ったり、お店を予約する経験は積めたし、将来「こんなこともあった」と話すネタにもなる。
セッションでは、そうやって見方を変えることをしてきました。
誰でも、うまくいかないこと、欠点、できていないことに目がいきがちです。
でも、僕らコーチは、1パーセントでもいいから、できていることに光を当てる訓練を受けています。
コップに3分の1の水が入っていたら、
「3分の1しかない」ではなく、「3分の1もある」と考えるわけです。
家族を持ってお母さんをしていると、自分のことは最後になってしまいがちです。
保科さんもそうでした。
自分を優先してはいけないと思い込んでいる、自分を最後にするための理由を一生懸命考えていた。
でも、本当に自分が満たされてこそ、他人も大事にしてあげることができます。
「自分を優先してはいけない理由」なんて、いくらでも取り除けるんです。
たとえば、家族に「私をほめて」とお願いするのも、自分を優先する行動のひとつ。
保科さんとも、「じゃあ、今週は、ご主人に自分をほめてもらうように、頼んでみることにしよう」と
計画をたてたこともありましたね。
「頼む」という行動は自分の変化ですから、それで他人を変えられるかもしれない。
誰にとっても、ほめられる、認められることは、エネルギーになる。
それが足りなくなると、ガス欠になるんです。
もちろん、セッションの中で僕が「これは、やれたじゃない」と、ほめて元気を注入することもある。
だけど、ご主人とか家族とか、身近な人にほめてもらうのが、一番力がでますからね。
セッションでは、そんなふうに「これができたね」と光を当てることもするし、
将来どんな未来にしたいのか描いたりしています。
コーチとしてやってきて思うのは、コーチングがすごいわけではなくて、
すごいのは本人の潜在能力だということ。
自分ひとりで、本来の目標を見失わずに進んでいくのは非常に困難ですが、
プロの第三者の力を借りると、ずっと容易になります。
コーチングは、目標達成、成功する、うまくいくための仕組みなので、人に教えることも可能なんです。
自分自身が大きく変わった経験をしている、そんな保科さんだからこそ、
「他の人を輝かせるお手伝いがしたい」という思いが強いのでしょうね。