出発、音楽の都ウィーンへ
3月31日
全国各地から集まった8名のピアノの先生により、ウィーン コーチング研修ツアーが開催されました。
主催のエムセックインターナショナルさん紹介動画
紹介動画
出発当日は朝早いこともあり、前の日の3/30に成田空港ホテルに泊まると共に、
シークレットセミナーと称して、コーチングと、ウィーンの基礎知識を勉強しました。また12時間のフライトを利用して、お一人お一人にコーチング(◆)のセッションをさせていた だき、ウィーン時間午後4時頃、ウィーン国際空港に到着いたしました。
◆コーチングとは、相手の能力を開花したり、やる気を引き出したり、また自ら目標に向かって行動するのをサポートするコミュニケーションの技術です。コーチは、ピアノの先生方の目標達成を応援します。生徒さんの自立を促すようなコミュニケーションを身に付けるお手伝いもしています。前日の3月30日のシークレットセミナーでは、相手との関係を良くする【タイプ分け】の技術をお伝えしました。
4月1日
世界中の人々を魅了するシェーンブルンは、『マリアテレジアイエロー』と呼ばれる気品ある黄色の宮殿です。私たちの旅の始まりは、1441室もある宮殿内で繰り広げられた華やかなオーストリアの歴史の探索でした。それぞれの部屋の見事な装飾に圧倒されながら、ガイドのユミさんが、ピアノ教師である私たちの目線にあった話をしてくださいました。
ハプスブルク家は、音楽とは深い関わりがあり、カール6世は作曲、ヨーゼフ2世はチェロ、そして、国母マリアテレジアは、ソプラノの美しい美声を持っていたと言われており、ハプスブルグ王朝で音楽が栄えたことがわかりました。
1762年当時6歳のモーツァルトが、マリアテレジアの前で御前演奏をしたという『鏡の間』も見学できました。モーツァルトが転んだ際に、マリー・アントワネットに助け起こされてプロポーズしたという有名なエピソードも、ここで聞くと、なお一層感慨深いものです。
当時のウィーンは、イタリアオペラ全盛期。その巨匠サリエリと、その頃ドイツオペラを作っていたモーツァルトの関係は? イタリアオペラ対ドイツオペラを象徴していたのか? ライバル関係だったのか? 本当はザルツブルクという田舎出身のモーツァルトを支援していたのではないか? など歴史の謎に迫る逸話もあり、大変興味深かったです。
実際に視覚を通して実物を見、聴覚を通して話を聞き、体を使って歩きながら感じることで、作品が作られた現場にいるという臨場感が増していきました。五感をフルに使っての体感は、当時にタイムスリップした錯覚を覚えました。
今回の参加者は、コーチングセミナーや、メールマガジンなどで、【優位感覚】という五感の優位性も勉強してきましたので、このツアーの一番の目的である、ご自身の優位な感覚を刺激し、伸ばすということも課題でした。
特に、「感動して涙が出そうになった」「惹きつけられた」と他の参加者の先生もつぶやくほどのユミさんの話は面白く、「マリアテレジアだけでも話したら、3日はかかります!」と。この後、ユミさんからは、何度もこの台詞が出ました。
さて、私たちは次の観光スポット、中央墓地へ。 以前私が行ったウィーンのフリー旅行では、一時間に一本程度しかないバスを乗るなど、移動が大変だった思い出があります。ところが今回の旅行は、ガイド付き、運転手付き。移動時間もユミさんのガイドで、音楽家のエピソードがふんだんに聞けるという贅沢な時間の使い方。「もっと聞いていたい!」と思いつつ、あっという間に中央墓地に着いてしまいました。
その日のウィーンの気温は20度。春爛漫の中、MUSIKERと書かれた看板のあるコーナーへ向かいました。ここはウィーンで活躍した音楽家の記念碑や、お墓がずらりと並んでいます。日本の学生さんが書いたと思われるモーツァルトへのファンレターや、近くの花屋で買ったお花が置かれてあったり、どのお墓の前も、綺麗なお花がいっぱい植えられていたりと、このコーナーには、音楽を志す、音楽を愛する人々の音楽家への尊敬の気持ちが満ち溢れていました。
ベートーヴェン、シューベルト、ブラームス、モーツァルト(記念碑)の前で、ユミさんのガイドを聞きながら、こっそり「モーツァルトさんおりてきて!」などと叫んだ私たちでした。
このように、音楽家ゆかりの地を訪れる旅をしていると、自然と作曲家と作品へ、尊敬の気持ちが深まっていきます。何百年も脈々と伝え続けられて来た素晴らしい作品たち。それを私たちは聞き、勉強させてもらい、演奏や指導に活用させていただいているんです。 なんとも言えない畏敬の念でいっぱいになりました。
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この後は、ウィーンの名物料理である伝説のパラチンケン(クレープ)、カフェの街とも言われるウィーンのコーヒーをいただきました。そして楽譜店のドブリンガーへ。
ピアノの先生ってどうして楽譜屋さんへ行くと、こんなにテンションあがるのでしょう? みなさん熱心に楽譜を探していました。
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ウィーンの夜は音楽三昧!
ホールの動画
ホールの動画
夜は日本の音楽団体の海外公演をプロデュースしているエムセックの丸尾さん(動画参照)に、コンサートを手配して頂き、皆さんそれぞれドレスアップして出かけました。
『奇跡の音響』と言われている楽友協会の音響について、丸尾さんの解説です。
楽友協会の黄金ホールは、バイオリンの素材で出来ており、底と天井が空洞になっているので、聴衆はまさにバイオリンの中にいるような感覚になるのだそうです。同じ素材を使っても、もはや再現不可能と言われている「奇跡の音響」は、楽器で言えば、ストラディバリウス 級の価値なのだとか。
一日目の夜に私たちが聴いた演奏会は下記です。
ズビン・メータ 指揮 ウィーンフィルハーモニー 公演
プログラム
ヨハネス ブラームス:Tragische Overture (Tragic Overture), D minor, op. 81
アーノルド シェーンベルク:Chamber Symphony No. 1, E major, op. 9
シャルル・カミーユ サン=サーンス:Symphony No. 3 in E minor, op. 78, “Organ Symphony”
会場は、ドレスアップした人たちで満員でした。数日前にも、ここで公演プロデュースをしたというエムセックさん。チケットを取るのは難しいようで、私たち8人はバラバラに座りましたが、私はステージ後方という珍しい席で聴くことができました。
『奇跡の音響』とはいかなるものか? 実際に経験してみると、音と自分との間に距離感が全くなく、音に包まれているような感覚でした。また、音が会場内で響き渡っているせいか、耳だけでなく、体へも振動が伝わってくるようでした。不思議な体験です。
私の席からは、マエストロの表情がはっきり見えましたので、アインザッツを観察出来ました。次にどんな音が欲しいか、マエストロの表情や身振りから、それが明確にわかります。また、音が出た後のフィードバックも多彩で、
「よし!」とか
「いいねぇ~」といった表情や身振りで、メンバーと会話していました。
マエストロは、コーチングでいうところの「ノンバーバル(非言語)」のコミュニケーションを行なっていたのです。
興奮覚めやらぬ中、ホテルに戻った参加者とは、個別セッションの続きをし、目標をどんどん明確にして行きました。日本を離れたからこそ、日常から解放され、自分としっかり向きあおうとする参加者の姿勢が印象的でした。